ジョージ・フレデリック・ヘンデル(1685-1759)
水上の音楽 ヘ長調・ニ長調・ト長調
トレバー・ピノック (チェンバロ)
指揮 トレバー・ピノック
イングリッシュ・コンサート
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ジョージ一世が、テームズ河で舟遊びを行ったときに、この水上の音楽が演奏されたと言われている。この舟遊びは、1717年6月17日の夜8時から行われテームズ河を往復する間に、この曲が3回演奏されたそうである。チェルシで宴が行われ国王が宮殿に戻ったのが、午前4時半頃だったという。水上の音楽は、金管楽器を含むヘ長調とニ長調の組曲は大編成のオーケストラによる華やかなものなので、舟の上で演奏したと考えられ、ト長調はフルート、リコーダーが使用された室内楽的要素があるので、チェルシの宴に演奏されたと思われる。 トレバー・ピノックは1946年12月生まれで、ロンドンの王立音楽院でオルガンとピアノを学んだ。1973年にオリジナル楽器による室内オーケストラであるイングリッシュ・コンサートを創設して、指揮者兼チェンバロ奏者として活動を始めた。イギリスの古楽器奏者によって構成されていて、メンバーは殆ど固定されている。ピノックの演奏は、生き生きとした楽しい演奏である。 |
| アルヒーフ F35-50012 デジタル (録音) ★★★★★ (2007.08.09) |
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カール・マリア・フォン・ウェーバー(1786-1826)
クラリネット協奏曲第1番ヘ短調 作品73
クラリネット協奏曲第2番変ホ長調 作品74
クラリネットと管弦楽のための小協奏曲ハ短調 作品26
ザビーネ・マイヤー (クラリネット)
指揮 ヘルベルト・ブロムシュテット
ドレスデン国立管弦楽団
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1811年にウェーバーはミュンヘンに行き、クラリネットの名手のベールマンと知り合った。彼のために小協奏曲を書いたのが、「クラリネットと管弦楽のための小協奏曲」であった。これを聴いていたく感動したバイエルン国王のマキシミリアンは、直ちにウェーバーに対して2曲のクラリネット協奏曲の作曲を命じたのである。第1番は5月17日に完成し、ベールマンの独奏、ウェーバーの指揮によりミュンヘンで初演され大きな成功を収めた。華やかな技巧を展開するこの曲が、最もポピュラーな人気曲となった。小協奏曲は、2週間ほどで作曲されたが、演奏会までに2日間しかなくてベールマンはほとんど練習しないで演奏会に臨んだそうだ。でも国王を感動させたように大胆にクラリネットを用いた魅力的な内容を持つ作品である。
このCDのクラリネット独奏は、女流クラリネット奏者のザビーネ・マイヤーは、1960年のドイツ生まれである。このザビーネ・マイヤーといえば、指揮者のカラヤンが彼女をベルリン・フィルに入団させようとして、反対する団員と対立したしたことは有名である。入団することはなかったが、その後の活躍を見ればベルリン・フィルに入団しなかったことが正解だったと思える。 |
| EMI TOCE-59187 デジタル (録音) ★★★★★ (2007.07.11) |
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ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893)
バレエ音楽「白鳥の湖」 作品20
指揮 シャルル・デュトワ
モントリオール交響楽団
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チャイコフスキーの作品で最も広く愛好されているのは、三大バレエ曲ではないだろうか。「白鳥の湖」「くるみ割り人形」「眠りの森の美女」で、その中の白鳥の湖は、バレエの代名詞ともいわれるほど愛好されている。現在ではそのような地位にある白鳥の湖であるが、初演の際は不評であったことがよく知られている。ボリショイ劇場の依頼で作曲されたが、単に踊りの音楽ではなく交響楽的な劇音楽であったので、初演のときには踊るのには適さないという理由で、原曲を大幅にカットしたようである。加えて舞台装置、振り付け、主演バレリーナの力不足など音楽と関係ないところものが、大失敗していたのが原因であった。つまり振付師のライジンガーが芸術的才能が不足していたようである。チャイコフスキーの死後、振付師マリウス・プティパが助手のレフ・イワノフとともに、第二幕を再演して成功を収めたので、1895年1月に全幕を上演して今日の評価化を得た。 バレエ音楽としてでなく、演奏会の管弦楽曲として聞いても名曲が宝石のように散りばめられた楽しい音楽である。全曲は54の音楽からなる大曲であるが、構えて聞くよりBGMとして気軽に聞くのに向いているように思える。 シャルル・デュトワは、1978年にモントリオール交響楽団の音楽監督に就任してから、短期間で世界有数の楽団に育て上げた。NHK交響楽団の常任指揮者にも就任したが、モントリオール交響楽団のようにはならなかったようだ |
| ロンドン POCL-1245~6 デジタル (録音) ★★★★★ (2007.04.10) |
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千 の 風 に な っ て
作詞 不 詳
作曲 新井 満
日本語詞 新井 満
秋川雅史 (テノール)
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私のお墓の前で 泣かないでください
そこに私はいません 眠ってなんかいません
千の風に 千の風になって あの大きな空を 吹き渡っています
秋には光になって 畑にふりそそぐ 冬はダイヤのように きらめく雪になる
朝は鳥になって あなたを目覚めさせる 夜は星になって あなたを見守る
私のお墓の前で 泣かないでください
そこに私はいません 死んでなんかいません
千の風に 千の風になって あの大きな空を 吹き渡っています
千の風に 千の風になって あの大きな空を 吹き渡っています
あの大きな空を 吹き渡っています
A THOUSAND WINDS
Do not stand at my grave and weep,
I am not there, I do not sleep.
I am a thousand winds that blow;
I am the diamond glints on snow,
I am the sunlight on ripened grain;
I am the gentle autumn's rain.
When you awake in the morning bush,
I am the swift uplifting rush
Of quiet in circled flight.
I am the soft star that shines at night.
Do not stand at my grave and cry.
I am not there; I did not die.
この歌は詞が素晴らしくヒットしたのはこの詞によるところが多だと思う。いきなり「お墓の前で泣かないでください」とエッと思わせるような言葉が出てくるが、そんなところで眠っていない千の風になって吹き渡っているんだと言っている。誰にでも悲しい出来事を持っているが、それを乗り越えて生きていく応援歌だと思える。お彼岸にお墓参りをして故人を偲ぶとき、爽やかな風が吹くと西条八十の「たれか風を見たでしょう 僕もあなたも見やしない けれど木の葉をふるわせて 風は通りぬけてゆく」というのがありますが、これが千の風なのでしょう。英語の詞が作者不詳といわれているオリジナルの詩である。 テノールの秋川雅史が歌っているが、聞いているとテノールよりバリトンという感じがする。
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| テイチク TECI-103 ステレオ (録音) ★★★★★ (2007.03.15) |
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宮城 道雄(1894-1956)
①春の海 ②さくら変奏曲
③瀬音 ④落葉の踊り ⑤数え唄変奏曲
⑥さらし風手事 ⑦水の変態
(箏) 宮城喜代子 宮城数江 菊池悌子
(尺八) 青木鈴慕
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今回は、邦楽から箏曲を紹介する。近代箏曲の父といわれる宮城道雄は、神戸市で菅道雄として生まれる。箏曲の演奏家・作曲家で十七弦(17本の絃を持つも箏)の発明者でもある。8歳で失明し生田流二代中島検校に入門した。14歳で処女作「水の変態」を作曲し、伊藤博文に認められた。結婚して宮城姓を名乗る。昭和4年に発表した「春の海」は、フランス人女流ヴァイオリニスト、ルネ・シュメーと競演により、世界的な評価を得ることになった。昭和31年6月25日未明、大阪の公演へ向かう途中愛知県刈谷市の刈谷駅付近で急行「銀河」から転落して死去した。 「春の海」は、代表作であるとともに近代の日本音楽を代表する曲でもある。瀬戸内海の船旅の印象を表現したものといわれ、波の音、カモメの鳴き声、櫓の音などを静かな春の海を見事に表現されている。尺八との協奏曲であるが、ヴァイオリン、ハープ、フルートなどの西洋楽器と演奏されるが、やはり尺八との演奏が迫力があり一番よいように思う。このCDの青木鈴慕も力強い演奏だ。春の海は昭和4年の歌会始のお題に因んで作曲されたと聞く。 |
| ビクター VDR-28068 ステレオ (録音) ★★★★★ (2007.01.17) |
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メリー・クリスマス
①聖しこの夜(グルーバー) ②クリスマスの歌(アダン)
③子守歌(ブラームス) ④アヴェ・ヴェルム・コルプス(モーツァルト)
⑤アヴェ・マリア(シューベルト) ⑥もろびとこぞりて(ヘンデル)
⑦神の御子は今宵しも(ウェード) ⑧子守歌(シューベルト)
⑨ホワイト・クリスマス(バーリン) ⑩ジングル・ベル(ピアポント)
⑪今宵も祝おうクリスマス(ホールドリッジ) ⑫ナビダット(パレラ)
ホセ・カレーラス (テノール)
ウィーン国立歌劇場合唱団
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12月ともなれば、どこからともなくクリスマス・ソングが流れてくる。ポピュラー歌手でなくクラシック歌手の唄うクリスマスの歌も良いものである。一度聞いて見てほしいものだ。
「メリー・クリスマス」というタイトルでの、ホセ・カレーラスのクリスマス・ソング集である。クリスマス・ソングといってもクリスマスソングには関係ない歌もいくつか含まれている。ホセ・カレーラスは、1946年にスペインのバルセロナで生まれで、パバロッティ、ドミンゴと並んで3大テノール歌手として世界に名をはせている。いろいろなクラシック歌手がクリスマス・ソングを歌っているが、ジングル・ベルを歌っているのは珍しいのではないだろうか。それと各国の言語で歌っている。聖しこの夜は、ドイツ語~スペイン語~英語で歌っている。
自分なりに気に入った曲は、「ホワイト・クリスマス」、「今宵も祝おうクリスマス」、「ナビダット」である。
ホワイト・クリスマスは、「あなたが幸福で光輝く日々が過ごしますように。雪のクリスマスを迎えますように・・・」と歌われる。1942年のアメリカ映画「ホリディイン」の挿入歌でビング・クロスビーが歌って大ヒットしたもの。
今宵も祝おうクリスマスは、今年もまたクリスマスがやってきた、とクリスマスの訪れを美しい詩情をしっとりとした情感をこめて甘美に歌っている。 |
| SONY SRCR-9036 デジタル (録音) ★★★★★ (2006.11.27) |
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グスタフ・マーラー(1860-1911)
交響曲第2番ハ短調 「復活」
ヘレン・ドナート (ソプラノ)
ドリス・ゾッフェル (アルト)
ハンブルク、北ドイツ放送合唱団
指揮 エリアフ・インバル
フランクフルト放送交響楽団
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マーラーは、この交響曲で声楽を導入してベートーヴェンの第9に並ぶ傑作を作った。「人間は何のために生きるのか」という問いに対する答えを、この5楽章からなる交響曲で回答したと思える。「人が永遠に生きるためには、まず死ななければならない。」といったマーラーは死後の世界に永遠の理想郷を見ていた。彼の作品にはこのような死のあとにやってくる理想郷への憧れを歌った作品が多い。この交響曲第2番はその代表的作品であると思える。1894年2月に指揮者のハンス・フォン・ビューローの葬儀で歌われたクロプシュトックの「復活」を聴いて自分の作品に取り入れたものである。第4楽章にアルト独唱、第5楽章にソプラノ、アルト、合唱と全オーケストラが加わった壮大な賛歌となり「我は死なん、生きんがために よみがえらん、まことに汝はよみがえらん!!」と力強く歌い上げ80分を超える大曲は終わる。
インバルの復活は、オーケストラのアンサンブルを生かして緊迫した音楽を作り上げている。声楽が入る4楽章以降はいっそう美しい流れになっている。 |
| DENON COCO-70471~2 デジタル (録音) ★★★★★ (2006.10.12) |
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ジョージ・ガーシュイン(1898-1937)
パリのアメリカ人
ラプソディー・イン・ブルー
交響的絵画「ポーギーとベス」 (ロバート・ラッセル・ベネット編)
ルイ・ロルティ (ピアノ)
指揮 シャルル・デュトワ
モントリオール交響楽団
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ガーシュインは、1919年に作曲した「スワニー」がヒットして流行作曲家としてデビューしたが、当時のジャズ・バンドの人気リーダーだったポール・ホワイトマンが、ジャズとクラシックを融合した曲を依頼して出来上がったのがラプソディー・イン・ブルーで、当時ガーシュインはまだ管弦楽法に通じていなかったため、独奏ピアノとバンド用に作曲された。それを「グランドキャニオン」の作曲家のグローフェがオーケストレーションした。クラリネットが演奏する有名な旋律で始まるが、初演から大変人気を博している曲である。
「パリのアメリカ人」は、ガーシュインが1928年にパリを訪れたときの印象を交響詩的に作曲したもので、冒頭に車のクラクションが数回鳴る旋律があり、花のパリを訪れたときの驚きを見事に表している。
歌劇「ポーギーとベス」は、なんといってもジャズとしても有名な「サマータイム」がある。
シャルル・デュトワのガーシュインは、モダンで洗練された都会的な演奏と思える。 |
| ロンドン POCL-5088 デジタル(録音) ★★★★★ (2006.08.29) |
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ヨハン・セバスティアン・バッハ(1685-1750)
管弦楽組曲 第1番~第4番 BWV1066-1069
ヴォルフガング・シュルツ(フルート)
指揮 カール・ミュンヒンガー
シュトゥツトガルト室内管弦楽団
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バッハのオーケストラのための作品の中で、ブランデンブルグ協奏曲と並ぶ優れた作品と言われている。第1番と第4番はケーテン時代、第2番と第3番はライプツィヒ時代に作曲された。この4曲とも最初に規模の大きな序曲があり、その後はいろいろな舞曲を並べた組曲となっている。第2番と第3番が有名で、第2番はフルート協奏曲といった感じで、第5曲のポロネーズ、第7曲のバディネリはよくフルート単独で演奏されるほど有名である。第3番は、第2曲のエアが編曲されて「G線上アリア」として演奏されている。
ミュンヒンガーの3度目の録音である。彼のバッハは、ドイツ的でガッシリとしていて古典的な演奏である。ややテンポは遅いめで丹念に演奏しており、特に第2番はまろやかで温かい音である。
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| ロンドン F66L-21004~5 デジタル(録音) ★★★★★ (2006.07.27) |
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ジャコモ・プッチーニ(1858-1924)
歌劇「蝶々夫人」
蝶々夫人・・・・・フィオレンツァ・チェドリンス
スズキ・・・・・・・フランチェスカ・フランチ
ピンカートン・・・ミナ・ブルム
シャープレス・・・フアン・ポンス
ゴロー・・・・・・・・カルオ・ボージ
指揮 ダニエル・オーレン
アレーナ・ディ・ヴェローナ管弦楽団&合唱団
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トリノ・冬季オリンピック以来「トゥーランドット」が有名になったが、「ラ・ボエーム」、「トスカ」、「蝶々夫人」がプッチーニの三大オペラであるが、いずれも悲劇となっている。
長崎を舞台としたこのオペラはプッチーニが45歳のときに完成した。物語は、明治の初めアメリカの海軍士官ピンカートンが芸者の蝶々さんを見初め、浮気心から結婚する。やがてピンカートンはアメリカに戻り、アメリカ女性と正式に結婚する。蝶々さんはそうとも知らず、ふたりの間に生まれた子供を育てながら、ひたすらピンカートンの帰りを待つが3年後妻を伴って長崎にやって来たピンカートンを見てすべてを悟り自害するという悲しい物語である。
このDVDは、2004年7月10日にイタリア・ヴェローナにある古代ローマ時代の野外闘技場跡でライブ録画されたものである。日本の時代劇を、外国人が演出すると見られたものでないが、これは衣装、振付を日本人が担当しているので、着物の着付けもサマになっている。スズキのフランチェスカ・フランチは好演である。 |
| TDK TDBA-0105 DVD-VIDEO (録音) ★★★★★ (2006.07.02) |
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グズターヴ・ホルスト(1874-1934)
組曲「惑星」 Op.32
指揮 シャルル・デュトワ
モントリオール交響楽団
モントリオール交響合唱団
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1920年に初演されたこの曲は、冥王星と地球を除く太陽系七つの惑星を占星術からヒントを得て、それぞれ性格づけされて神秘的、幻想的で色彩的な管弦楽法によってダイナミックに表現されている。①火星「戦争の神」②金星「平和の神」③水星「翼のある使いの神」④木星「快楽の神」⑤土星「老年の神」⑥天王星「魔術の神」⑦海王星「神秘の神」となっているが、木星のメロディーを使って最近歌になっているようである。なお、冥王星がないのは作曲当時はまだ発見(1930年に発見された。)されていなかったからであるが、最近冥王星に次ぐ新惑星が発見されたそうである。現在検証中だそうで、新惑星ならあと2曲ホルストに作曲してほしいものだ。
ところが、新惑星どころか冥王星も惑星から落選してしまった。これでよかったのである。
シャルル・デュトワの演奏は、キラキラと輝くような音でまさに星といった感じである。 |
| ロンドン F35-20085 デジタル (録音) ★★★★★ (2006.05.28) |
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作詞:大和田建樹(おおわだ たけき)(1857-1910)
作曲:多 梅稚(おおの うめわか)(1869-1920)
① 鉄道唱歌(東海道編)
(地理教育鉄道唱歌第一集・明治33年5月)
② 鉄道唱歌(関西・参宮・南海編)
(地理教育鉄道唱歌第一集・明治33年11月)
① ダーク・ダックス (歌)
② ロイヤル・ナイツ (歌)
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「汽笛一声新橋をはや我が汽車は離れたり・・・・」よくご存じの鉄道唱歌の第一番の出だしである。この鉄道唱歌を全曲覚えている人は皆無であろう。何しろ第66番まであるのだから・・・・ 鉄道唱歌はこれだけではなく、第一集「東海道」、第二集「山陽・九州」、第三集「奥州線・磐城線」、第四集「北陸地方」、第五集「関西・参宮・南海各線」の全体が鉄道唱歌なのであり、なんと334番まである。この大作は、国文学者で歌人の大和田建樹が一人で作詞したのだからこれまたビックリである。当該地の名所旧跡等が入っているので、取材旅行もしたのだろうか。現在と違って取材も大変だったろうと思われる。
このCDには、東海道編は66番全曲、関西・参宮・南海編は64番全曲が歌われていて、それぞれ28分35秒、28分43秒と長い。メロディーは全曲変調もなく全く同じであるので、コンサート等では聴衆を飽きさせないで全曲を聴かせるにはどのように歌うのであろうかと、つまらない心配もする。
(東海道編)
1 汽笛一声新橋を はや我汽車は離れたり 愛宕の山に入りのこる 月を旅路の友として
10 汽車より逗子を眺めつつ はや横須賀に着きにけり 見よやドックに集まりし
わが軍艦の壮大を
20 三保の松原田子の浦 さかさにうつる富士の嶺を 波にながむる舟人は 夏も冬とや思ふらん
40 瀬田の長橋 横に見て ゆけば石山観世音 紫式部が筆のあと のこすはここよ月の夜に
50 夏は納涼の四条橋 冬は雪見の銀閣寺 桜は春の嵯峨御室 紅葉は秋の高雄山
66 明けなば更に乗りかへて 山陽道を進ままし 天気は明日も望みあり 柳にかすむ月の影
(関西・参宮・南海編)
1 汽車をたよりに思い立つ 伊勢や大和の国めぐり 網島いでて関西の 線路を旅の始めにて
16 愛知逢坂鈴鹿とて 三つの関所と呼ばれたる 昔の跡は知らねども 関の地蔵は寺ふるし
25 伊勢の外宮のおはします 山田に汽車は着きにけり 参詣いそげ吾友よ
五十鈴の川に御祓して
44 弘法大師この山を ひらきしよりは千余年 蜩ひびく骨堂の あたりは夏も風さむし
53 蜜柑のいづる有田村 鐘の名ひびく道成寺 紀州名所は多けれど 道の遠きを如何にせん
64 治まる御代の天下茶屋 さわがぬ波の難波駅 いさみて出づる旅人の 心はあとに残れども
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| キング KICW-8708 ステレオ (録音) ★★★★★ (2006.05.10) |
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アントン・ドヴォルザーク(1841-1904)
交響曲第9番ホ短調 B.178 作品95「新世界より」
指揮 サー・ゲオルグ・ショルティ
シカゴ交響楽団
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ニューヨークのナショナル音楽院長として招かれたのは、1892年でドヴォルザークの51歳の時だった。「新世界より」が作曲されたのは、その翌年で耳にしたアメリカ・インディアンの民謡、黒人霊歌などが取り入れられて作曲されている。新世界はアメリカ大陸のことであるが、アメリカの風物を描いた交響曲ではない。アメリカから祖国のチェコに宛てた手紙といったもので、この曲に流れているのは、チェコの精神である。第二楽章はドヴォルザークの郷愁の思いが強く表れていると思える。
ショルティの新世界は、ダイナミックな演奏でシカゴ交響楽団の技量を遺憾なく発揮されている。ケルテス盤も名演奏とされているが、鋭い切り込みで豪快な演奏はショルティらしい。録音も素晴らしいものがある。 |
| ロンドン POCL-5156 デジタル (録音) ★★★★★ (2006.04.15) |
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ニコライ・アンドレーヴィチ・リムスキー・コルサコフ(1844-1908)
交響組曲「シェエラザード」作品35
ライナー・キュッヒル(ソロ・ヴァイオリン)
指揮 アンドレ・プレヴィン
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
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リムスキー・コルサコフは、1887年にヴァイオリンと管弦楽のための「ロシアの主題による協奏的幻想曲」を始め、「スペイン奇想曲」「シェエラザード」「ロシアの復活祭」と四曲続けて、独奏ヴァイオリンが活躍する管弦楽曲を作曲したが、このシェエラザードが最も有名である。「アラビアン・ナイト(千夜一夜物語)」のヒロインの名前をとったこの曲は1888年8月に完成し、その年に初演された。
4つの楽章から成り立っているが、各楽章に共通した主題が二つある。一つは威厳と荒々しい感じがするシャリアール王の主題、もう一つはヴァイオリンの独奏で演奏される愛らしい感じのするシェエラザードの主題が各楽章に演奏されて、シェエラザードがシャリアール王に毎夜物語を聞かせていることを示唆させている。ムソルグスキーの「禿山の一夜」の編曲でわかるようにオーケストレーションが巧みで、様々な色彩感溢れる音楽を管弦楽から引き出すことに成功していると思う。また、この曲は東洋的な旋律の美しさには格別なものがあると思える。
アンドレ・プレヴィンは、ジャズのピアニストとして名を上げたが、クラシックに転向して指揮者として名を成したというのも珍しい。やや遅めのテンポでロシアの情緒をタップリと聞かせる名演奏だと思う。
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| フィリップス 32CD-141 デジタル (録音) ★★★★★ (2006.04.10) |
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アントーニオ・ヴィヴァルディ(1678-1741)
ヴァイオリン協奏曲集「四季」作品8
イ・ムジチ合奏団
ピーナ・カルミレッリ(ヴァイオリン)
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ヴィヴァルディは、ヘンデルやバッハとほぼ同時代に活躍したイタリアの大作曲家である。水の都として名高いヴェネツィアに生まれている。父がサン・マルコ寺院のヴァイオリン奏者だったので、父からヴァイオリンと作曲を学んでいる。1693年に僧門に入った。髪の毛が赤かったので、「赤毛の司祭」というあだ名で呼ばれた。ヴィヴァルディは、約650曲も作曲したがそのうちの456曲は協奏曲であり330曲が弦楽器の協奏曲である。これだけの多くの作曲をしたが、作曲をしたのではなく編曲をしたのだという評論家もいる。この四季は、「和声と創意への試み」という12曲のヴァイオリン協奏曲集の第1番から第4番までをいう。
四季と言えば、イ・ムジチ合奏団であるが、コンサートマスターが変わる毎に録音されている。初のデジタルで録音された第4回目のコンサートマスターは、女性で1914年生のピーナ・カルミレッリで1982年7月に録音された。アーヨ盤と違って協奏曲と合奏曲の中間といった演奏が特徴である。
CDプレーヤーを購入して初めて買ったCDがこれである。CDが発売された当時は経年劣化して音が悪くなると言われたが、それはなさそうである。 |
| フィリップス 32CD-118 デジタル (録音) ★★★★★ (2006.03.18) |
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